11月4日(水)、埼玉県立視覚特別支援学校「塙保己一学園」の、文化・進路合同公演回でお話しさせていただきました。
7・9月に呼んでいただいた「ブラインドママのキャリアストーリーを聞こう」に埼玉盲のPTAの方が来てくださり、今回のご依頼をいただきました。
当日は幼稚部から専攻科まで31人もの保護者の方に来ていただきました。
校長先生も最初から最後まで聞いてくださっていました。
まずは簡単に自己紹介をしました。
「日野市から来ました。日野、知ってらっしゃる方拍手お願いします!」
それなりの数。
「結構いらっしゃいますね。じゃぁ、日野に来たことがある方、拍手!」
かなり減りました。
「えっ!?少ない!」
ここで笑っていただいて、ぱっと場の空気が明るくなりました。
私も一緒に笑って、緊張がほぐれました。
今回、お子さんの年齢も幼稚部(3・4歳)から専攻科(19・二十歳)と幅が広いこともあり、小さい頃の話もたくさんしました。
初めて自分が目が見えないと分かったときのこと、地域の幼稚園に通っていた時のこと、盲学校小学部でのこと…。
中学部・高等部普通科へと進み、大学時代から就職の話にも少し触れました。
娘を通じて、たくさんの人と繋がれていることをいくつかのエピソードでお話ししました。
中でも娘が描いた絵の話はとても反響が大きかったです。
遠足で娘が描いた絵を、同じクラスのお母さんに写真を撮ってもらってフェイスブックとツイッターに載せました。
それを観て、たくさんの人が絵について教えてくれました。
私が直接見ることは出来なくても、こうやってたくさんの人に見てもらえることで、絵を感じることが出来ると思ったことを話しました。
次の日に仲良くしているママ友が、フェイスブックの写真を印刷して、プリントアウトしたものに、つまようじにボンドを付けて触って分かるようにして持って来てくれました。
ボンドが乾けば線が浮き出して分かる仕組みです。実際にその絵を後で触ってもらえるようにお店しました。
後から
「家の周りの地図をこうやって作ったことがあります」
「算数のプリントをこうやって作ったことがあります」
と教えてくれたお母さんたちがいました。
視覚障害の専門性がなくても、伝えたいという気持ちでここまでの物が作れるのだと嬉しくなったことをお話しし、実際その絵をたくさんの方に触っていただきました。
全盲の母親であること、視覚障害児であったことから「視覚障害児を育てているお母さんたちの力になりたい」そう思って立ち上げた「Mothers' Cafe」。
サイト立ち上げのきっかけ、今までの活動や今後やってみたいことをお話ししました。
ホームページに掲載している、「母が綴った私の記録」実際のノートを持っていき、これも見ていただきました。
見える人たちに視覚障害に着いて知ってもらえれば、お母さんもお子さんも、そして視覚障害を持つ親も、みんなが楽に暮らせるのではないかなと考えています。。
この「見える人」の中に「視覚障害のお子さんを持つお母さん」が入ることに活動を進めて行く中で気が付きました。
視覚障害児を育てているお母さんたちとお話しして思ったのですが、お母さん自身も視覚障害について知らないことがたくさんあるんだなということをお話ししました。
今後は、見えるお母さんも、見えないお子さんも一緒に楽しめるワークショップをやりたいとお話ししました。
今回初の試みとして、私が初めて書いた物語を朗読しました。
いつか自分のオリジナル作品が書けたらと思っていたところに、娘とのあるエピソードからすっと物語が浮かびました。
せっかくなら今回の講演をオリジナル物語を読む最初にしようと思い、書き上げました。
ありがたいことに、みなさん真剣に聞いてくださり、中には涙を流してくださった方も何人かいました。
「絵本にしてください」
という声もたくさんいただき、本当に嬉しかったです。
講演の途中で何度か質問の時間を設けました。
そこでいただいた質問をいくつかまとめてご紹介します。
「子供の頃の遊びは何でしたか?」
盲重複障害のお子さんを持つお母さんからでした。
お子さんが家で時間を持て余してしまうことがあるということで、いただいた質問でした。
私は子供の頃は、外で遊び、小学校に入ってからはピアノを弾くというのが余暇の過ごし方だったという話をしました。
「目が見えないことでお母さんに八つ当たりや、攻めたことはありませんか?」
という質問。
私が憶えている範囲では、こういうことはありませんでした。
自分が目が見えないことを親のせいだと思ったことはありません。
2時間お話しをさせていただき、最後にはいつも伝えていることをここでも話しました。
私は一人の視覚障碍者であって、視覚障碍者の代表ではないこと。
今日の話は、あくまでも私の話、やり方、考え方であり、視覚障害者全てに当てはまるわけではないということをお伝えしました。
2時間もの長い間聞いてくださった方々、本当にありがとうございました。
そして、講演の機会を与えていただき、ありがとうございました。
当日の思いを書いた私のブログ
「講演を終えて思うこと」はこちら。
参加してくださった方からいただいた「感想はこちら」です。
ありがとうございました。