キャリア勉強会「ブラインドママのキャリアストーリーを聞こう」

 

7月18日(土)、埼玉浦和にてキャリアカウンセラーの奥富美子さんが企画してくださった「ブラインドママのキャリアストーリーを聞こう」当日の様子をお伝えします。
私が自身のキャリアの語り手となり、すべての参加者が自らのキャリアを考えるというコンセプトの勉強会でした。
参加してくださったのは、キャリアカウンセラーさん5人、視覚障害の中学生のお子さんがいるお母さんが3人、中学生の女の子が二人、今後のキャリアを考えたいと言う女性が一人でした。

私は、自らのキャリアの転機、進学・就職・結婚など人生の大きなイベントを中心に、1時間キャリアストーリーをお話しさせていただきました。
キャリアカウンセリングを受けようと思ったきっかけ、実際に受けたときに感じた気持ち、そして今の活動についてもたくさんお話ししました。
みなさん真剣に聞いてくださっている様子が伝わってきました。
1時間自分の人生の話をするなんて貴重な体験をさせていただいたなと思っています。

私の話が終わってからは、様々な質問をいただきました。
みなさんから質問を受け、それに考え・答えることで、さらに自分の内側を見ることができました。
質問のいくつかをご紹介します。
「大学時代、教科書の点訳はどうされていましたか?」
自分でボランティアグループと連絡を取り、どの本をいつまでにどなたにお願いするかということもすべて自分で管理していました。
私はいい社会勉強になったと思っています。
電話のかけかた、お願いのしかた、そういうことを学ばせていただきました。
大学に行って勉強するのは自分なのだから、それを親にお願いするなんて考えられないと思っていました。
でも、参加者さんからは驚きの声が。
今は視覚障害のあるなしに関係なく、私の大学時代と大学生の状況も変化しているんだという話に発展しました。

大学時代の話の中で、盲学校と言う見えない人ばかりの世界から、一般の大学に入って感じたカルチャーショックの話は、懐かしく思い出しながらお話しすることが出来ました。
盲学校時代の話にもたくさん触れ、今盲学校にお子さんを通わせているお母さんたちが
「改めて盲学校のよさを認識しました」
と言ってくださったのは嬉しかったです。
「見えなくてもなんでも出来る」という基盤は、盲学校時代に作られたんだなと、私自身も改めて感じました。

続いての質問
「目が見えなくて周りからかわいそうと言われることが多いです。あずささんはどうでしたか?」
みんなで「かわいそうってなに?障害ってなに?」という話で盛り上がりました。
視覚障碍者のことを知らないから、自分の中のイメージで「かわいそう」という言葉が出てくるのでしょうね。
主催者の奥さんからこんな話がありました。
とあるセミナーを受講していた視覚障害の人がいて、座席を変わるのが難しいだろうと言う判断から、スタッフの一人が椅子を車いすのように押して移動していた、という話を聞きました。
見えないだけなのだから、立つことは問題ない。
じゃぁ、立って移動するときに少し腕や肩を持たせてもらえれば、それで移動は出来るよね、という話になりました。
必要な配慮をお願いすることの大切さを感じました。

そして、びっくりした質問としてはまさに私が今悩んでいることを聞かれました。
視覚障碍者の中には、見える人と目の様子が違う人が多いと思います。
私もその一人です。
眼球が小さかったり、目が濁っていたり。
それを補うために、コンタクトレンズのような義眼があるのですが、それは使っていますか、という質問でした。
まさに私がこの1年考えていることです。
この話題が出たときに、参加者のお一人が言ったことが、私の中にすごく残りました。
「義眼をするということは、視覚障碍者であることを隠すのではなくて、よりよく見てもらうための一つの方法。 年齢を重ねて出来た染みやしわを無くしたいのと同じようなものですよね」
というもの。私の中にすとんと落ちてきました。

こんな風に、私のキャリアを話し、そこから視覚障害の話、障害を受け入れるということ、そして生き辛さを抱えている人たちの話へと広がっていきました。
最後は、いつも話していることですが、大切な気持ちをお伝えしました。
私が視覚障碍者の代表ではないということ。
視覚障碍者と言っても、今までの見え方や生活など、人それぞれ違います。
だから今日話したことは、ここにいる私のことであって、みんながそうではないということ。
私を通じて視覚障碍者を知るきっかけにしてもらえれば嬉しいです、とお伝えしました。m

あっという間の3時間でした。
キャリアカウンセラーのみなさん(見える人たち)、見えないお子さんを育てている見えるママさんたち、見えないお子さんたちに、見えない私たち。
みんなが混ざって話せたからこそ広がった話、考えられたことがたくさんありました。
こうやって、みんなと時間を共有できたこと、本当にすてきな学びになりました。
企画してくださったキャリアカウンセラーの奥富美子さんを始め、参加してくださったみなさん、ありがとうございました。

「当日の私の気持ちを書いたブログ」はこちら。
参加者のみなさんからいただいた 「すてきな感想」を掲載しています。
この勉強会を企画してくださった奥富美子さんのホームページ 「きゃりあす」はこちら。